(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年12月8日付)

まず軽率な行動を取り、次に釈明に追われるというのはこの人物の特徴のようだ(12月8日撮影、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 あの人たちは国民にウソをついている、国民を笑いものにしている――。

 野党がボリス・ジョンソン首相率いる英政府に向けてこんな非難の矢を積み上げ始めている。

 ウソの方は有権者の側も織り込み済みかもしれないが、後者の軽侮の念はもっと深刻だ。

 ダウニング街10番地(首相官邸)のスタッフが昨年12月、首相自身が英国全土にロックダウン(都市封鎖)を命じていた最中に開かれたパーティーについて冗談を言っている動画がリークされたことで、ジョンソン氏の政敵は今、一生分のクリスマスが一度にやって来たと思っているに違いない。

動画流出の衝撃、身近なだけに怒り

 政治の中心であるロンドン・ウェストミンスターを震撼させる話が英国全体にどんな打撃をもたらすかを推し量るのは難しいのが常だ。

 だが、便利な目安では、そういった背信行為が自分に対してなされたのだと感じられれば感じられるほど、それに対する怒りも激しくなる。

 その尺度に照らせば、ジョンソン氏が抱えた問題は深刻だ。なにしろ、パーティーが催されたのは首相の執務室でもあり公邸でもある建物だった。

 あの時期に同じようなロックダウン違反をした一般国民は起訴されたり罰金を科されたりしていたのに、自分のスタッフは閉ざされた扉の向こう側で大騒ぎしていたのだ。

 スタッフはロックダウン違反をネタにブラックユーモアを飛ばしたつもりだったのかもしれないが、その様子が動画で明らかにされたことにより、ジョンソン政権で重要な問いとは「バレずに済ませられるか?」だけなのではないかとの見方が説得力を増している。

 これを受けて首相は、こうした状況に陥った時に最後の防御戦として昔から使われている手段に手を伸ばし、自身の職場で起こったことを調べる会議を主導するようサイモン・ケース内閣官房長に要請した。