性売買特別法の制定以降、海外に渡る売春種が増えているという(写真:アフロ)

(羽田 真代:在韓ビジネスライター)

 韓国のMLBPARKというサイトに、「韓国女性が東アジア圏で最も乱れてますよね?」というスレッドが立ち上がっていた。

 MLBPARKとは、東亜日報が運営する東亜ドットコム傘下のスポーツコミュニティだ。米国メジャーリーグや韓国プロ野球に纏わるニュースを主に配信しており、野球好きがアクセスするサイトである。自由掲示板として活用されている「ブルペン」にはスポーツはもちろん、政治や経済などについて様々な意見が交換されている。

 このブルペンに投稿された「韓国女性が東アジア圏で最も乱れてますよね?」というスレッドは「社会」にカテゴリー分けされており、「中国、台湾、日本、韓国の中で股をむやみに動かす女性比率トップが韓国ですよね? 経済的能力が落ち、生計型売春を職とする東南アジアよりは少しマシで」という内容が書かれていた。

 閲覧者からのコメントには、「日本でしょう」「人が住むところは全部同じ」「韓国はこれから先進国だとみなさんクッポン(クッ:国家、ポン:ヒロポン=国贔屓)に酔いしれたじゃないか? でも、先進国はもちろん、平均所得2万ドルを超えた時から後進国以上に遠征売春婦があふれている国は韓国しかない」「ほとんどの国では男性の方が性病にかかる比率が高いのに、韓国では逆だ」「韓国が一番だという証拠を出せ」など、様々な意見が寄せられていた。

 韓国では、9月19日から25日の1週間を「性売買追放週間」と定めている。翌日の26日には、女性家族部から全国に残っている性売買集局地(かつての売春合法エリア)が14カ所あると発表された。2004年の売春特別法が制定された当時、35カ所だったこの集局地は、2016年に24カ所となり、今年(2021年)には14カ所となった。

 2019年8月には、日本統治時代に誕生してから110年もの間、利用されてきた大邱(デグ)の集局地が、2021年5月には京義道(ギョンギド)最大規模であった水原(スウォン)、6月には全州(ジョンジュ)の集積地が60年の歴史に幕を閉じた。善美村(ソンミチョン)に残っている集局地も、3カ所を除けば環境整備区域に指定されており、韓国内から集局地が姿を消すのも時間の問題だ。

韓国・ソウルの梨泰院にある性売買集局地

 もっとも、性売買集局地の閉鎖が加速する一方で、6月には女性家族部は性売買被害者相談が急激に増加しているという統計を発表している。

 事実、2016年に6万4198件、2017年に6万332件、2018年に6万5241件、2019年に6万1154件と安定していた相談件数が、2020年には8万8672件と急増。前年度よりも2万7518件、44%も増加ししている。

 性売買被害者の相談が急増した背景には、新型コロナウイルスの流行により人々の行動が制限されたこと、そして、性売買集局地の急減があるようだ。