(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年12月1日付)

民主主義とは脆いもので外からも内からも崩壊を煽る圧力がかかる

 第1次大戦前の世界には、民主主義国がほんの一握りしかなかった。

 ジョー・バイデン米大統領が12月にオンライン形式で開催するサミットには、100カ国あまりの民主主義国が集うことになる。

 確かに、民主主義国の数はここ10年間で減ってはいるが、冷戦終結後のピークが非常に高かったことを考えれば、維持するだけも大変な偉業だった。

 人目を引く失態や反転(米国やトルコ)を経験した今でさえ、民主主義体制の下で暮らす人類の割合は、1975年当時のそれよりはるかに大きくなっている。

独裁者のプロパガンダを代行するな

 ここで言いたいのは、ストロングマン(強権的指導者)のプロパガンダを、わざわざ彼らに代わって行うようなことをしてはならない、ということだ。

 独裁政治には、次の時代の主流を名乗り、それが歴史の必然だという感覚を糧にする傾向がある。

 自由主義の国々が、包囲された雰囲気を漂わせながら異例の集まりを催すことは、独裁政治の側にまやかしの信憑性を与えてしまいかねない。

 不安のない国々は会議など開かないものだ。

「自由主義の国は消滅する運命にある」

 ドゥーチェ(統領)と呼ばれたベニート・ムッソリーニは1932年にこう言った。合理的な考え方をする人の一部は共産主義やファシズムに転じた。

 アナキズムに向かう人さえいた。能動的にその道を選んだわけではない。ドゥーチェの目的論を不承不承信じたからだ。