事件以来姿を見せないテニスプレーヤーの彭帥さん(2020年1月撮影、写真:AP/アフロ)

 北京冬季五輪まで2か月を切った。

 これまではウイグル人の強制収用問題や香港に対する強権政治による自由剥奪といった主として人権問題で「外交的ボイコット」などを米英豪などの自由諸国が検討していると報道されてきた。

 そうした中で、中国人テニス選手・彭帥さんの「行方不明」事件が起きた。

 大坂なおみ選手ら超一流アスリートたちの懸念表明などで解決したかにみえるが、真実は藪の中で分からない。

 しかし、共産党指導部にとって都合悪いことが起きると、渦中の「人」を行方不明にして事態を人民や国際社会から隠蔽し糊塗する強権国家であることを暴露した。

 こうした、強権国家で開かれる五輪に参加することは、いうなればその体制を容認したことにもなる。

 近年のウイグル人の強制収容がジェノサイドとして強く批判されているが、中国は建国以来、チベットの宗教施設破壊や、最近ではモンゴルの文化抹殺などもやっている。

 元々、「平和の祭典」を開くには程遠い国のようだ。

 2008年には北京夏季五輪を開催したが、国歌斉唱が実は口パクだったり、50余の少数民族を代表する子どもたちがすべて漢民族だったというインチキなどが発覚している。