辛亥革命110周年記念大会でスピーチする中国の習近平国家主席(2021年10月9日、写真:AP/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国共産党の秋の重要会議、中央委員会総会(第6回中央委員会全体会議=6中全会)が11月8日から11日まで北京の京西賓館で開催された。この原稿を書いている時点ではコミュニケは出ておらず、その中身はまだ不明だが、共産党史上3度目となる「歴史決議」が採択され、それをもって、習近平が毛沢東、鄧小平と比肩する指導者として権威付けされることはほぼ間違いない。歴史決議は、来年(2022年)秋の党大会で政権トップの座を維持するための最後の地ならしの意味を持つのだろう。

 では習近平が総書記、国家主席の座を維持したとして、その先にはどんな展開がありうるのだろうか。

 歴史決議は「中国共産党の100年奮闘の重大な成果と歴史的経験に関する中共中央の決議」と題され、その草案はすでに中央委員の討議を経ている。11月11日には採択され公開されるだろう。

 以前、本コラム欄(「来たる6中全会で『歴史決議』、懸念される習近平の歴史観」)でも解説したように、歴史決議は3度目である。1度目が1945年の毛沢東の「若干の歴史問題に関する決議」、2度目が1981年の鄧小平の「建党以来の若干の歴史問題に関する決議」だ。いずれの歴史決議も、権力闘争(路線闘争)に決着をつける決議だった。すなわち1度目は共産主義中国本土派の毛沢東とソ連派の王明らの対立、2度目は毛沢東路線継続の華国鋒と改革開放の鄧小平の対立があり、それぞれ勝利者側(毛沢東、鄧小平)の勝利宣言のようなものだった。