双竜自動車のエンブレム(写真は2014年2月7日撮影、写真:AP/アフロ)

 韓国で双竜(サンヨン)自動車の名前を知らない人は少ない。

 ところが、今どのグループの傘下にあるか答えられる人はほとんどいない。

 この四半世紀、頻繁に身売りを重ねる数奇な運命をたどっているからだ。

 2021年10月末、企業の更生手続きを手掛けるソウルの裁判所は、双竜自動車の売却先の優先交渉権者として新興のEV(電気自動車)バスメーカー、エジソンモーターズを中心とするコンソーシアムを選定した。

 韓国メディアによると、同コンソーシアムが3100億ウォン(1円=11ウォン)を提示したという。

エジソンモーターズって何だ?

「今度は新興企業か・・・。果たしてうまくいくのか」。韓国紙デスクはこう話す。

 エジソンモーターズ。韓国でもほとんど知られていない会社だ。新興のバスメーカーなのだ。

 いったいどこを走っているのか?

 そう思ってソウルで注意してバスを見ていたら、特に江南(カンナム)地域の路線バスでエジソンモーターズの車両を何台かみかけることができた。

 エジソンモーターズは前身の韓国企業が一度中国企業に身売りしたが、いまの韓国人会長が2016年に買収した。とはいえ、本格的に事業に乗り出したのは2019年あたりからだ。

 ちなみにこの会長は1959年生まれ。延世(ヨンセ)大学を出て、KBSやSBSといった地上波放送局のプロデューサーだった。

 長寿人気番組なども作成したが、事業欲に目覚めて退社して、これまでいくつかの企業を経営して成功した経験がある。