アメリカ軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長(2021年7月21日、写真:AP/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカ軍のトップであるミリー統合参謀本部議長がテレビ番組のインタビューで中国軍による極超音速(ごくちょうおんそく)兵器開発の進展に関して「スプートニク・ショックの再来のようだ」と極めて深刻な危惧を表明した。「スプートニク」とは、冷戦中の1957年10月4日にソ連が打ち上げに成功した人類初の人工衛星の名称である。

 安全保障とりわけ軍事に関してはアメリカ当局が言う事ならば何でも聞く日本政府と多くの日本メディアであるが、ミリー大将の発言を受けて少なからぬ日本メディアが中国軍極超音速兵器の脅威を取り上げ始めたようだ。

 以前より本コラムでしばしば取り上げているように、中国軍は極超音速兵器の一種であるDF-ZF極超音速滑空体を搭載したDF-17準中距離弾道ミサイル(最大射程距離2500km)をすでに数年前より配備し始めている。

中国人民解放軍が建国70周年軍事パレードで公開した中距離弾道ミサイル「東風17(DF-17)」(2019年10月1日、写真:新華社/アフロ)