これを聞いた人は安心するはずだったが、政策立案者は不動産セクターの苦境について相当懸念しなければ救済には動かない。

 規制当局が不安になることが、住宅建設業者とその債権者の不安を緩和するための必要条件の一つなのかもしれない。

 ほとんどの経済学者やエコノミストは、中国の経済成長率(前年比)は第4半期にさらに低下すると見込んでいる。

 バンク・オブ・アメリカは基本ケースとして2.5%の成長を予想している。中国はCOVID-19への警戒を続けるだろうし、不動産セクターの不振はさらに悪化する余地がある。

足元の石が崩れたら跳ぶしかない

 しかし、3つのショックのうち1つは、年末にかけて少なくともパンチ力が若干弱くなるはずだ。

 発電所は不動産デベロッパーとは異なり、遅まきながら当局から支援を得た。炭鉱には増産の指令が下った。

 10月19日には中国で最も重要な計画機関が、石炭価格があまりにも高い水準にとどまるなら介入すると脅しをかけ、石炭の先物価格が急落した。

 川上部門での価格介入の脅しは、川下部門の自由化に向けた大きな一歩に続く動きだった。

 中国政府は今後、発電事業者が送電事業者に原価上昇を販売価格にもっと自由に転嫁できるようにする。

 また、商工業者の顧客には料金表に書かれた料金ではなく、市場での交渉で決まった電力料金の支払いを義務づける(一般世帯や農家は対象外)。

 こうした計画は長い間検討されてきたものだ。だが、急な危機の発生によって実施を強いられた。

 前出のフィッシュマン氏は、政策立案者たちは以前、「市場原理の緩やかな導入」好んだかもしれないが、「国中の工場の明かりが消え始めたことで」状況が変わったと話している。

 中国は、川を渡る時には川底の石の状態を足で探りながら進むのを好む。

 だが、足をかけた石が崩れてしまったら、あとはもう跳ぶしかない。