コロナ禍に不動産ショックが追い打ち

 パンデミックも中国経済にショックをもたらした。

 7月に南京で始まったクラスターをはじめとする感染拡大を受け、地域限定の厳しいロックダウン(都市封鎖)が導入され、小売支出(特に食事の出前)と旅行が落ち込んだ。

 旅行予約サイトのフライトマスターによれば、8月の旅客機の稼働率は50%に満たず、9月に入っても3分の2にとどまっている。

 とどめは不動産セクターへのショックだった。

 中国の経済成長、雇用、レバレッジ、そして不安を常にかき立ててきたエンジンに当たるセクターだ。

 規制当局はマンションの投機需要の抑制と住宅建設業者による過大な借入の制限を試みている。金融セクターのリスクを抑えようとするこの取り組みのせいで、以前から存在していた危険の一部が正念場を迎えることになった。

 負債総額が3000億ドルに達する巨大デベロッパーの恒大集団は、9月24日にドル建て社債の利払いを見送った。他社もこれに続いた。

 そのため住宅購入者のなかには、どの不動産開発業者に対しても頭金の支払いをためらう動きが出ている。

 予約販売しているプロジェクトの物件が完成する時まで、開発業者が存続できない恐れがあるからだ。

 こうしたことを背景に、中国の9月の国内新築着工は前年同月に比べて13.5%減っている。床面積で計測される不動産販売も同程度減少した。

 セメントや鉄鋼の生産も急激に落ち込んでおり、前者の9月実績は前年同月比13%減、後者は同14.8%減となっている。

 中国の中央銀行は10月15日、不動産業界は総じて健全であり恒大集団は特異なケースだという見解を示した。