(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年10月19日付)

民主主義の脆弱性を自ら攻撃した前大統領の負の遺産は大きすぎる

「Are We Rome?(私たちはローマ帝国なのか)」

 米国が没落する帝国だという懸念をとらえたカレン・マーフィー氏の著作が、こんなタイトルで米国で出版されたのは2007年のことだった。

 そして今、ワシントンでは「我々はワイマール共和国なのか」という問いが流行っている。

 米国は1920年代のドイツのように、末期的な衰退に向かう民主主義国なのではないか、というのだ。

 この2つの恐怖――ローマとワイマール――はリンクしている。

 内的な弱さと対外的な弱さは互いに強め合う。ローマ没落の理由については、帝国の辺境における蛮族の存在と帝国中心部の堕落の両方を強調するのが通説になっている。

互いに矛盾する圧力を作り出す2つの戦い

 ジョー・バイデン米大統領は間違いなく、自分は民主主義のために二正面戦争を戦っていると考えている。

 国内では、バイデン大統領は、依然ドナルド・トランプ氏――米国史上初めて選挙での敗北を認めるのを拒んだ大統領――のとりこになっている共和党の脅威に直面している。

 そして国外では、台頭する中国の挑戦に直面している。

 バイデン氏は中国との対立を、21世紀がどんな時代になるかを決める民主主義と独裁体制の一大決戦の一環に位置づけている。

 理屈のうえでは、これら2つの戦いは相補的だ。