(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年10月16・17日付)

新型コロナウイルス感染症のワクチンでファイザーは画期的な勝利を収めた。ところが株価はさえない

 昨年の今頃、新型コロナウイルスのワクチンを開発する競争が全力で繰り広げられ、レースの参加者は感染を恐れる市民と死に物狂いの政府から追い立てられていた。

 競争は終わった。米ファイザーが勝った。

 ファイザーが独ビオンテックとともに開発したワクチンは最初に投入されただけでなく、英国のオックスフォード大学と製薬大手アストラゼネカが共同開発したワクチンや米ヤンセン、米モデルナのワクチンと比べ、珍しい副作用や生産のトラブルに見舞われることも少なかった。

時間を求める出遅れ組

 モデルナなど3社は少なくとも、有効なワクチンを大規模に生産することに成功した。

 世界最大級のワクチンメーカーである英グラクソ・スミスクライン(GSK)、米メルク、仏サノフィはそろって、新型コロナワクチンの開発にさえ失敗した。

 一方、かつて意味のある貢献が見込まれた新興企業の独キュアバック、米ノババックス、仏バルネバも、まだ開発できずにいる。

 出遅れ組は時間がほしいと訴えている。

「我々はまだパンデミックの真っただ中にいる、そうですよね?」。ノババックスの最高商業責任者(CCO)を務めるジョン・トリジーノ氏は最近、業界の会議でこう確認した。

 ファイザーとモデルナの取り組みについて「優れたワクチンだ」と認めつつ、「だが、我々のワクチンに対するニーズがある」と語った。

 キュアバックは先日、最初のワクチン開発計画を打ち切ったが、「1つのワクチンで現在の変異ウイルスと新たな変異ウイルスに対する長期的な保護」を提供するよう設計された「第2世代」のワクチンの開発を進める。

 同社の最高開発責任者(CDO)で、GSKと共同開発に取り組んでいる次のワクチンに期待をかけるクラウス・エドバルドセン氏は「全世界の国の政府が競争を歓迎するはずだ」と語った。