北朝鮮・平壌で行われた労働党創建75年の軍事パレード(資料写真、2020年10月10日、提供:KCNA/UPI/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 10月19日午前、北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。岸田文雄首相はミサイルが2発発射されたことを明らかにした。

 北朝鮮は軍事政策のなかで日本を明確に潜在敵と位置づけ、核弾頭装備のミサイル攻撃の標的に含めている――米国の国防総省が10月15日に発表した「2021 北朝鮮の軍事力」という報告書からは、日本が切迫した脅威に直面している状況が明確に伝わってくる。

 北朝鮮は日ごろ日本を敵視する言動をとりながらも、その敵視の全体図や背後の基本政策は不明確のままである。だが、米国の同報告書は北朝鮮の対外政策における軍事的な対日敵視姿勢を詳細に論じている。

 また同報告書は、北朝鮮政府の情報機関が日本国民を拉致したと明記して、日本人拉致事件の基本構図も改めて鮮明にしていた。