(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年10月13日付)

カリフォルニア州のロング・ビーチ港

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるショックからの景気回復は、1年半前のどの予想よりも速く、そして力強く進展した。

 これは効果的なワクチンの開発と大量生産という、科学的かつ組織的な偉業のおかげだ。

 気が滅入るほど多くの割合の人が、この現代の奇跡に懐疑的だ。

 ただ、この成功とそれがもたらした景気回復は、もろ手を挙げて喜べるものでもなく、新たな不安と困難を伴っている。

 国際通貨基金(IMF)が発表した最新の「世界経済見通し(WEO)」と「国際金融安定性報告書(GFSR)」は、そのように読むのが最善だろう。

最大の懸念はパンデミックそのもの

 最大の懸念材料は、パンデミックそのものをめぐる懸念に違いない。

 2021年9月下旬時点でワクチン接種を完全に終えた人の割合(人口比)は高所得国では58%で、新興国では36%、低所得国ではわずか4%という惨めな数字だった。

 世界の過半数の国では、年内に人口の40%が接種を完了するめどがまだ立っていない。

 IMFの報告書は、グローバルなワクチン接種プログラムが十分な成功を収め、来年末までにCOVID-19がコントロール下に置かれると想定している。

 だが、ワクチン接種の遅い展開は、新たな変異株が登場して、この期待を裏切るリスクを高める。

 景気回復も幾多の懸念をもたらす。