新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 衆院解散によって事実上の選挙戦に突入した。コロナ第5波は終息したが、なぜ終息したのかは曖昧なままで、来たるべき第6波に向けて、どのように備えればいいのかという科学的な説明は出てきていない。第6波はいつ来るのか、その山はどの程度の大きさなのか──。統計解析のスペシャリスト、スタイルアクトの沖有人氏が解説する。

 前回記事「政府の説明ではさっぱり分からない『なぜ第5波は終息したのか』」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67233)では、新型コロナの第5波までの陽性者数などを因数分解し、感染動向を予測する上で、どの指標が最も「効く」のかを明らかにした。ヤフコメに数多くのコメントが付くなど、それなりの反響があったようだ。

 この予測モデルを作成してから1週間が経過したため、改めて予測値を検証した。結果はほぼ予測通りだったが、予測期間を年末まで引き延ばしてみたところ、感染状況における私たちの置かれた前提条件が、大きく変化していることが分かった。今回はその点を整理しようと思う。

 英下院の保健社会福祉委員会と科学技術委員会は、政府の新型コロナウイルス対応を検証した報告書を発表した。2020年の春頃に感染が広がり始めた際にロックダウン(都市封鎖)を迅速に導入せず、対処が遅れたことが欧州最悪水準の死者を出すことにつながったと厳しく批判している。

 日本で、この手の検証報告書は出ることは非常に少ない。しかし、全国民が影響を受けた今回の感染症対策は検証が必要だ。本来は専門家委員会がやるべきものだが一向に出てこないので、統計を用いた予測を仕事にしている著者が私的にやったものが、前回のコラムだった。

 その目的は、過去の検証だけでなく、第6波が来た場合に私たちは何をしなければならないかということを明らかにするところにもあった。こうした検証は、専門家が自分たちの能力を上げるために必要なプロセスだと考える。

 厚生労働省新型コロナウイルスアドバイザリーボード資料によると、ワクチン接種履歴によって新規陽性者数の発生率が大きく異なることが分かる。例えば、9/27~10/3の間の人口10万人当たりの感染者数を見ると、未接種者は17.7人、2回接種済は1.6人である。ワクチンで10分の1以下に抑え込んでいることになる。

【参考資料】
●厚生労働省新型コロナウイルスアドバイザリーボード資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00294.html

 ワクチンの2回接種を終えた人の比率は、10月11日時点で59.29%。毎日0.3%程度上がるので、10日で3%、1か月で10%近くの上昇となる。このまま進むと、年末には80%を超えて83.8%になる。これだけの接種率とその効果を考えれば、次の年末年始は昨年末の感染リスクの10分の1になっていると考えていい。