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「ウェルビーイング」という新しく大きな潮流は、日本人のライフスタイルをどのように変えるのか? また、それに応じてどんな新しい産業や市場が生まれるのか? 消費者目線で社会トレンドをウォッチし続けてきた統合型マーケティング企業、インテグレートの藤田康人CEOが考察していく。(JBpress)

「本来あるべき状態」を求めるようになった現代人

 現代の生活者にとっての「幸福」は以前とどう変わってきたのでしょうか?

 1950年代は、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が“3種の神器”と呼ばれ、これらを持つことが幸せの象徴とされました。また、1980~90年代のバブル時代においては、シャネル、エルメス、ルイ・ヴィトンなどの高級ブランド品を手に入れることが多くの女性にとっての幸せでした。

 その時代ごとに幸せの象徴となるモノは移り変わりましたが、戦後の日本は長らく“モノの所有で得られる幸福”が大きかったように思います。しかしその風潮は次第に変化し、ミレニアル世代(1981~1996年生まれで2000年以降に成人している世代)、その次のZ世代(1997~2012年生まれ)は、モノを所有するより、体験を通して心の充足を図るコトの消費を重視する傾向が顕著です。