ドナルド・トランプ氏は米国で最も評価されない方から2番目の大統領だという

バイデン大統領は「現代のカーター」

 今、米知識人の間で一冊の本が静かなブームを呼んでいる。

 米第39代大統領のジミー・カーター氏の政治理念と足跡を緻密な取材を基に描いたピューリッツアー賞受賞のベテランジャーナリスト, カイ・バード氏の新著、「The Outlier: Unfinished Presidency of Jimmy Carter」(異端者:未完の大統領ジミー・カーター)だ。

 カーター氏と言えば、米国人一般には「失格大統領」と言ったイメージがあるようだ。

 8月26日、アフガニスタン撤退で大混乱を招いたジョー・バイデン大統領の不手際を報じたメディアの中には、1980年イランで人質に取られた米外交官の救出作戦(イーグルクロー作戦)に失敗したカーター氏の姿を重ね合わせる記事もあった。

The Outlier: The Unfinished Presidency of Jimmy Carter By Kai Bird Crown, 2021

 ワシントン生活の長い著名な英国人コラムニスト、エドワード・ルース氏はこう指摘している。

「カーター氏の大失敗は大統領選でロナルド・レーガン共和党候補と対決するほんの数か月前のことだった」

「この失敗はその後になってカーター政権終焉の前触れとなった」

「今後、何が起ころうとも、(バイデン氏の)政敵はバイデン氏を『現代のカーター』というレッテルを貼ろうとしてくるだろう」

 イラク救出作戦だけではない。カーター政権は経済政策の失敗から高インフレと不況を招き、追い討ちをかけるように1979年にはスリーマイルズ島原子力発電所事故、石油ショックが襲った。

 そうした中でエジプトとイスラエルとの和平協定「キャンプデービッド合意」を締結、ソ連との「SALT2」締結など外交的成果を上げたが、国内政策の失敗が政権の足を引っ張った。

 規制緩和路線の目玉にした航空規制緩和法は路線参入規制や運賃設定規制が撤廃されたため格安航空会社が台頭、大手航空会社の経営は悪化して倒産、吸収合併が相次いだ。