(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年10月6日付)

上海の高層ビル群と古い住宅

 不動産会社として世界最大の債務を抱えた中国恒大集団(エバーグランデ)と、同じく不動産会社の花様年控股集団(ファンタジア)の苦難が中国経済に脅威をもたらすとしたら、それはどれほど深刻なものになる可能性があるのだろうか。

 その答えは、「中国は壊滅的な金融危機を経験する」ではない。

「不動産投資からもたらされる需要に中国経済が依存するのは、もう終わりにしなければならない」となるだろう。

 これは大変な調整を伴うことであり、当局にとって大きな頭痛の種になる。需要を生み出すうえで不動産投資に代わりうるものなどあるのか――。

投資頼みの中国経済

 マクロ経済の観点で見るなら、中国経済で最も重要な事実は、貯蓄が並外れて多いことだ。2010年には、国民総貯蓄が国内総生産(GDP)の50%相当に達していた。

 その後、この比率は少し低下した。だが、2019年時点でもまだ44%を保っていた。

 また家計の貯蓄率は極めて高く、2010~19年の平均で可処分所得の38%に達しているが、国民総貯蓄に占める割合は半分を若干下回る。残りの大半は法人の留保利益だ。

 経済が潜在GDPに近い水準で活動している時、不況に陥らないためには、投資と純輸出の和が貯蓄に等しくならなければならない。

 世界金融危機以降、GDPに占める純輸出の割合は小さいまま推移している。世界はもう、これ以上の輸出を受け入れないのだ。

 総固定資産投資(総固定資本形成)のシェアは2010~19年の平均でGDPの約43%を占めた。驚くべきことに、この数字は2000~10年の平均より5ポイント高くなっていた。

 一方で、経済成長率は大幅に低下した。

 投資の割合の上昇と経済成長率の低下がセットになっているということは、投資のリターンが大幅に低下したということだ(この点は「限界資本係数」の上昇に直接表現される)。