初戦でオマーンに敗れ、勝ち点3・グループリーグ(6チーム中)4位で、1位のオーストラリア、2位のサウジアラビアと戦う日本代表。いきなりの正念場である。

 特にアウェイとなる今夜(7日25時30分~)のサウジアラビア戦は極めて重要な意味を持つ。それは、森保ジャパンのこれからといった短期的な視点のみならず、「日本サッカー」が世界トップレベルに追い付くために重要なポイントが改善されているのかを試す、リトマス紙でもあるからだ。

 約2年前の2019年、森保ジャパンはアジアカップでサウジアラビアと対戦した。1対0で勝ったこの一戦には、日本サッカー界が陥りがちなある視点の欠如が見て取れる。

 元サッカー日本代表の岩政大樹は、新刊『Football PRINCIPLES ~躍動するチームは論理的に作られる~』でそれを指摘した。たちまち重版をし大きな評判を呼ぶ本書より、約2年前のサウジアラビア戦から続く「日本サッカー界」の課題を紹介する。

代表に欠けていた「原則」とは具体的になんだったか

 本書で岩政は、自身が主催する「PitchLevelラボ」のLive配信(2019年1月)で参加者と行ったやり取りを引用している。主題は、世界的に広まった「5レーン理論」によってもたらされた「現代サッカー」の変化である。

岩政 日本代表は4‒4‒2でやっています。このとき何が難しいか。4-4-2の利点は、各エリア(ゴール前、中盤、相手ゴール前の、ピッチを横方向から区切ったゾーン)で「4人ができる」ことです。例えばハイプレスではサイドハーフが上がって4人に並びます。で、中盤になったら4-4-2に、突破されてもディフェンスラインは4人です。基本的に4-4-2は、どこのエリアも4人にできるわけです。

 これに対して、(サッカー界で世界的なトレンドになった)5レーン理論は、各エリアに5個の通路(レーン、ピッチを縦方向に区切ったエリア)を作ることによって、空きができます。まぁ、5人いるんでね。誰かがずれることで、ひとり余る状況を作れる。

 攻撃を意図的に崩すやり方っていうのは、後ろから丁寧につなぐ理論の中で、5レーンっていうのが出てきて、これがよく整備されてくると4人では守りきれないんですね。

 どのエリア(横の区切り)でも、例えば相手が絞れば、外が空きますし、付いてくれば中が空く……と、(4人対5人の)繰り返しできてしまうわけです。

 このように立ち位置を整理されると、守備側からすれば、4-4-2をきれいに作っただけでは守れない。

 じゃあ、どう守るかといえば、ボールを持った相手に「規制をかけて」、相手が5枚いようとも、逆サイドに振らせない、外側を捨てて守るというのが4-4-2の考え方です。わかりますかね?

 で、こうなってくると結局は、相手の精度が高いか、守備側のスライド、プレスが速いかの話になっていくわけですが、理論上は4人では守れないのが現代サッカーにおける原則になるんです。

 これを「原則」だと思っておかないと、何が起こるか。

 これが、日本代表のアジアカップで顕著でした。まずベスト16のサウジアラビア戦(1対0、ボール支配率23・7%で辛勝)。