(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年9月29日付)

米国の変質はドナルド・トランプ氏のせいなのか、それとも米国自身がトランプ氏にそうさせるよう仕向けているのか・・・

「米国の『シーザー主義』が具現化した」

 筆者は2016年3月にそう書いた。ドナルド・トランプが共和党から米国大統領選挙の候補者に指名される前のことだ。

 今、米国という民主的な共和国が独裁国家に変容する過程がさらに進んでいる。

 2024年には、もう取り返しのつかない状態になっているかもしれない。もし本当にそうなったら、この世界のほとんどのものが変わってしまうことになる。

ロバート・ケーガンが鳴らす警鐘

 その危険性をかいつまんで語る時の説得力でロバート・ケーガンの右に出る者はいない。ケーガンの議論は2つの大きな要素に集約できる。

 一つは、共和党はイデオロギーではなく、トランプへの忠誠心によって規定されている政党であること。

 もう一つは、前回の大統領選挙で展開された素人っぽい「ストップ・ザ・スティール」運動が高度なプロジェクトに変身を遂げたことだ。

 このプロジェクトには、トランプが2020年の選挙結果を無効にしようとするのを阻止した役人たちの排除も含まれている。

 しかし最大の狙いは、選挙結果を判断する責任を、共和党の支配下にある議会に移すことにある。

 かくして、健康状態が許せば、トランプは次の大統領選挙で共和党の候補者になるだろう。今や彼の手先となった政党から支援を受けることになる。