(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年9月24日付)

サンフランシスコ市庁舎前に設置されたドラゴン

 新たな冷戦の話題について最も不穏な側面は、これが慢心を醸成することだ。

 最初の冷戦は1991年、ソビエト連邦が崩壊した時に平和裏に終わった。イデオロギーの争いだった米ソ冷戦は暗に、一方の体制が倒れたら、もう一方が勝利を収めることを意味し、それが実際に起きたことだった。

「冷戦2.0」の見通しは異なる。

 明確な出口ランプがないまま、世界の二大大国の地政学的競争がエスカレートしていく展開だ。

バイデン氏は絶え間ない外交を約束したが

 ジョー・バイデン米大統領が先の国連総会で約束した「絶え間ない外交」が中国に対して奏功する可能性はある。

 バイデン氏はこれまで、次第に妄想を強める中国政府から意味ある対話を引き出していない。

 対照的に、同盟国との連合については急激な進展を遂げており、これが中国の「戦狼」の本能を一段と刺激する可能性がある。

 米国が9月半ばにまとめたオーストラリア、英国との新たな安全保障の枠組み「AUKUS(オーカス)」と、その後の日米豪印4カ国戦略対話(クアッド)の首脳会談は、次第に広がる中国の軍事的リーチに対する具体的な対抗策だった。

 バイデン氏のスタンスは、地球温暖化との戦いや次のパンデミックの阻止など、米国の目標が重複する分野では中国と協力する一方で、人権や台湾、航行の自由、技術的な競争関係など、目標が食い違う分野では中国と対峙することだ。