上海にある恒大集団のオフィスビル(写真:ロイター/アフロ)

 先週末の9月25日土曜日の晩に、カナダで拘束されていたファーウェイの孟晩舟CFOが、1028日ぶりに解放されて中国に帰国したニュースが、世界を駆け巡った。

 だが私は、他にもう一人の中国人VIPの動向にも注目していた。それは、中国共産党序列4位の汪洋(おう・よう)中国人民政治協商会議主席である。

恒大集団の後見人

 CCTV(中国中央広播電視総台)の報道によれば、汪洋主席は9月24日金曜日の晩、北京民族院で1カ月近くにわたり行われていた第6回全国少数民族文芸会演の授賞式と閉幕式に出席した。その2日後の26日日曜日には、北京で行われた全国台聯の成立40周年記念大会及び第5回台湾同胞社団論壇の開幕式に参加し、習近平総書記に代わって祝辞を述べた。

8月19日、チベット自治区ラサを訪れ、チベット平和解放70周年の記念式典に出席した人民政治協商会議主席の汪洋氏。恒大集団の「後見人」と言える存在であもる(写真:新華社/アフロ)

 ただこれだけのニュースなのだが、汪政協主席は9月13日、やはり北京で開かれた全国政協の第59回主席会議に参加したと報じられて以降、11日間も、プツリと消息を絶っていたのだ。

 それはなぜか? 想像するに、恒大問題に対処していたのではなかったか。汪洋政協主席こそは、世界122位の巨大企業(『フォーチュン』誌発表)で、倒産の危機に陥っている不動産大手、恒大集団の「後見人」とも言えるキーパーソンだからだ。