上海にあるシャオミのオフィスビル(写真:Featurechina/アフロ)

(山田敏弘・国際ジャーナリスト)

「中国製スマホの廃棄を勧める」

 先日、こんな衝撃的な発言が欧州発で広く報じられた。ヨーロッパのバルト三国の一角であるリトアニアで、リトアニア国防省傘下の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が中国製スマホを使わないよう忠告したことで世界中が騒然となったのである。

中国を批判し続けてきたリトアニア

 リトアニアは以前より中国の5G関連製品を警戒してきた。今年5月には、安全保障に絡むコミュニケーションを守るための法改正を行ない、中国製の5G通信機器の排除を可決している。また中国の国家情報法など情報関連の法律を念頭に、リトアニアの情報機関は中国企業の危険性を指摘していた。

 そもそもリトアニアと中国との関係は、2020年から悪化していた。リトアニアは2020年6月、中国が強引に法制化した香港国家安全維持法に公式に批判する立場を表明。また今年年5月にはリトアニアの国会が、アメリカやイギリス、カナダやオランダに次いで、新疆ウイグル自治区でジェノサイド(大量虐殺)が行われていると認定している。もちろん中国はこれらに強く反発した。

 だがリトアニアの態度は変わらなかった。今年年7月には、リトアニアが首都ビリニュスに、欧州初となる「台湾」という名前を冠した「台湾代表処」(大使館に相当)を開設すると発表。猛反発した中国側が駐リトアニア大使を召喚する事態に発展した。

 このように対中関係が悪化している中、リトアニアのNCSCは8月、中国製品の安全性を調査した調査結果を公開したのだ。