韓国「国軍の日」の式典でスピーチする文在寅大統領(資料写真、2019年10月1日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 久々に北朝鮮が日本海に向けてミサイル発射試験を実施したのと前後して、潜航中の韓国海軍潜水艦KSS-III「島山安昌浩」(注:安昌浩は日本統治時代の朝鮮独立運動家。号は「島山」)が弾道ミサイル発射試験を実施した。

 北朝鮮も潜水艦発射型弾道ミサイルを実用化していると主張しているが、発射試験に関してはフェイクとの分析がなされており、いまだ確実なところは不明だ。百歩譲って北朝鮮当局の主張どおりに潜水艦発射型弾道ミサイルを完成させたことを認めたとしても、プラットフォームとなる潜水艦は恐ろしく旧式であるだけでなく、小型潜水艦のためミサイル発射管がセイル部分に設置されており発射できる弾道ミサイルは1基だけである。

 これに対して韓国海軍による水中からの弾道ミサイル発射は間違いなく成功した。

 ただし、弾道ミサイル発射したKSS-III級潜水艦の潜航状態などに異常が生じなかったかどうかは公表されていない。もし、韓国海軍のAIP潜水艦に設置された垂直発射管からのミサイル発射が設計どおりに作動していたならば、未確認である北朝鮮潜水艦をとりあえず除外すると、また実験用の潜水艦も除外すると、世界初の弾道ミサイル発射型非原子力潜水艦の誕生ということになる。

韓国海軍潜水艦KSS-III「島山安昌浩」(写真:韓国海軍)