「鬼畜美人教師による連続誘拐殺人事件」――まるでホラー映画のような事件の判決が、先週9月9日に、中国江西省の省都・南昌の中級法院(裁判所)で出された。

 以来、中国のネットやSNS上で、この事件と判決を巡って、侃々諤々の議論が交わされている。北京や上海など都市部の「90後」(ジウリンホウ=1990年代生まれ)や「00後」(リンリンホウ=2000年代生まれ)の若者たちは、「こんなことあるの?」と目が点である。

美人聡明、飛び級で師範学校へ入学するほどの才媛が・・・

 この事件の「主人公」は、労栄枝(ろう・えいし)という名の美女。1974年に江西省九江市に、5人きょうだいの末っ子として生まれた。少女時代から美人で聡明、ピアノや絵画にも優れていた労栄枝は、1989年にわずか15歳で、特例として九江師範学校への入学を許された。

 彼女は3年後に卒業し、18歳で九江石油分公司の人民教師になった。地元最大の国有企業の付属小学校教諭である。

労栄枝被告

 21歳のある日、労栄枝は、地元のホテルで行われた友人の結婚式に出席した。そこで、これまでの人生で出会ったこともないタイプの男に、一目惚れしてしまう。月給300元(約5000円)の小学校教諭では考えられない7000元(約12万円)もする大型バイクを乗り回す野性的な青年、法子英(ほう・しえい)である。当時はチンピラ仲間から「法老七」と呼ばれていて、すでに何度も前科があった。

法子英

 まもなく2人は付き合い始め、労栄枝は教諭の職を辞めてしまう。反対する家族のもとも離れ、法子英と同棲するようになった。