(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年8月28・29日付)

アフガニスタンで自爆テロに遭い無言の帰国を果たした米軍兵士を見守るジョー・バイデン大統領(8月29日、写真:AP/アフロ)

 アフガニスタンの首都カブールが8月26日にテロ攻撃を受けた後、ジョー・バイデン米大統領は見解表明を次の言葉で締めくくった。

「皆さん、あれから20年経ち、アフガニスタンを出る時が来ていたんです」――。

 まさに時代が一回りして振り出しに戻ってしまった瞬間だった。

 米国は2001年、テロリストを追い出すためにアフガニスタンに乗り込んだ。それが2021年になって、テロリストに悩まされつつこの国を出て行こうとしている。

墓穴掘るバイデン大統領

 今回のテロ攻撃が国際テロ組織「アルカイダ」の仕業ではなく、過激派組織「イスラム国」(IS)のアフガニスタン支部「ISIS-K(イスラム国ホラサン州)」によるものだったという事実は、大した慰めにならない。

 ISもISIS-Kも2001年には存在していなかった。このグループはアルカイダから派生した組織であり、アルカイダのライバルでもある。

 ウサマ・ビンラディンのグループの残党と彼らを長年受け入れてきたタリバンは今や、テロリストの世界では比較的穏健な部類に入る。

 20年の歳月と2兆ドルを超える資金がつぎ込まれた果てに、アフガニスタン撤退に際して生じた悲劇的な出来事の数々は、米国という象がイスラム主義者という蚊を踏みつぶせなかった証だ。

 米国史上最長の戦争の幕引きについてバイデン氏が不当に大きな非難を受けることは間違いない。

 タリバンに敗北したことは、米政府全体の取り組みで、超党派、しかも複数の大統領の任期にまたがる戦いの結果だった。