(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 8月17日の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域の追加に加えて、8月25日に、政府は、緊急事態宣言の対象地域に北海道、宮城、岐阜、愛知、三重、滋賀、岡山、広島の8道県を、まん延防止等重点措置に高知、佐賀、長崎、宮崎の4県を加えた。前者は21都道府県に、後者は12県になる。両者を合計すると、47都道県の過半数であり、人口の4分の3を占めている。感染者の急増に伴い、重症者は全国で2000人にもなっている。

 期間は9月12日までである。つまり、2週間あれば感染が収束に向かうという見通しだ。東京都の感染者は減少気味になっているが、陽性率が2割を超えるというのは、検査数が不十分である可能性がある。保健所も業務が多すぎて、検査にまで手が回らないのだろう。

感染爆発続く中、どこに「明かりは見え始めている」のか

 この新たな措置が決定された後の記者会見で、菅首相は「明かりは見え始めている」と述べたが、日本列島の各地で新型コロナウイルスの感染爆発が続いており、少し楽観的に過ぎるようである。患者の急増で病床が不足して医療崩壊状態となっており、救える命も救えない状況になっている。

 自宅療養者が東京で2万5000人、全国で12万人もの数に上り、症状が急変して自宅で亡くなるケースが相次いでいる。病床使用率は33都府県で5割以上になっている。これは異常事態であり、医療の現場では絶望感が漂っている。