中国共産党創立100周年祝賀記念式典で演説する習近平国家主席(2021年7月1日、写真:新華社/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 8月17日の中国共産党中央財経委員会・第10回会議で習近平が強く打ち出した「三次分配(三度分配)」が、中国の富裕層、大企業幹部らを狼狽させている。

 この会議は「共同富裕実現の研究」と「重大金融リスクの予防緩和」の2つのテーマが議題となったが、「三次分配」は共同富裕実現の方法として提唱された。

 共同富裕という目標は2017年10月の第19回党大会で強く掲げられていた。だが、今回の会議の中身が翌日に新華社通信などで公表されると、実は、共同富裕とは「みんなで豊かになる」のではなく「富裕層から富を収奪する」ことであり、これはひょっとすると、かつて地主や富農から土地や財産を奪った土地革命や、ブルジョア・知識人を打倒した文化大革命のように、富裕層・企業家らをターゲットにした階級闘争の再来なのではないか? という不安が、富裕層や資本家、投資家らの間で広まってきたのだ。

問題は格差是正のやり方

 習近平は7月1日の建党100周年記念の大会で、「小康社会の全面的実現」(そこそこ豊かな社会=絶対貧困のない社会)の目標がすでに達成された、と宣言。次の100年目標(建国100周年の2049年に向けた目標)として、「共同富裕(みんなが豊かな社会)の実現」を強く打ち出した。