(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年8月19日付)

ロシアにおける議会選挙は茶番劇と言われてもおかしくない

 来月に予定されているロシア議会選挙の目的は、自由かつ公正な競争によって国民に選ばれた政権を作ることではない。

 この点については、ロシアの有権者なら誰もが承知している。何しろ、ウラジーミル・プーチン大統領と政権与党・統一ロシアの勝利があらかじめ決まっているのだから。

 突き詰めると、統一ロシアが2016年の選挙と同様に定数450議席のざっと3分の2を確保するか否かという問いも的外れになる。

 真の競争が行われない選挙で勝っても、ロシアの世論を知る不完全な手がかりにしかならない。

 それよりも、独裁体制の論理で勝者があらかじめ決まっているのに、クレムリンが今回の選挙を21年に及ぶプーチン体制下で最も自由のない選挙にしているのはなぜなのか、という問いかけの方が重要だ。

国民の不満だけでは説明のつかない締め付け

 プーチン政権による政権批判者の締め付けは、ロシア社会の異議や不満で説明できそうなレベルを超えている。

 一般市民が物価の上昇やいっこうに向上しない生活水準にイライラしていることは間違いない。

 統一ロシアの支持率も過去2年間で低下しており、市民としての自由を政府がこれまで以上に厳しく制限していることには、モスクワやサンクトペテルブルクといった大都市の中間層が立腹している。

 だが、最も著名な政敵であるアレクセイ・ナワリヌイ氏やロシア社会全体が、プーチン体制を今にも倒してしまいそうなほど脅かしているわけではない。

 ナワリヌイ氏が昨年8月に毒殺未遂に遭ったこと、そして半年前に投獄されたことが今日の弾圧開始の前触れだった。

 あれ以来、ロシア当局はナワリヌイ氏の反汚職運動を非合法化している。