(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年8月3日付)

都会での生活コスト急増で中国の出生率は世界最低に落ち込む可能性がある

 中国の社会契約が綻びつつあり、中国のインターネットから削除された歌がこの問題を鮮明にとらえている。

「横たわることは良いことだ、横たわることは素晴らしい、横たわることは正しい、倒れないように寝そべろう」――。

 ジャン・シンミンさんがソファに寝そべりギターを奏でながら、中国語でこう歌う。

「躺平(タイピン、横たわること)」は、ストレスの多い仕事をやめる中国の若者の間のトレンドで、国民から最大限の努力を引き出すことによって40年間にわたって目覚ましい成長を実現した発展モデルに対するアンチテーゼだ。

 中国政府はこれに、少なからず不安を覚えている。

「この激動の時代にあって、横たわって繁栄を待つなどということは存在しない」

 中国政府の呉謙報道官は今週、こう語った。「世の中には奮闘と努力の偉大さしかない。若者よ、しっかりしろ!」

学習塾禁止の衝撃

 人々に発破をかけ、家族にもっと子供を持つよう促すいくつかの構想の背後に、こうした懸念がある。

 そのような対策のなかでも特に重大なのが、放課後の学習塾を厳しく規制することにした先週の決定だ。

 学習塾は、学童に大きなストレスをかけながら、親に大きな金銭負担を強いる1000億ドル規模の産業だ。

 中国国務院(内閣に相当)が発令した新たな規則は、中核的な学校教科について営利目的の塾や家庭教師を禁止する。

 このニュースは落雷のように業界を襲い、米国市場に上場している業界大手のTALエデュケーション・グループ、新東方(ニューオリエンタル)、高途科技教育の株価が一斉に急落した。