7月28日のドミニカ戦、9回裏にサヨナラヒットを放ちガッツポーズする坂本勇人選手(写真:AP/アフロ)

 日本の野球ファンは胸を撫で下ろしたことだろう。東京五輪の野球日本代表・侍ジャパンが28日、オープニングラウンドA組初戦でドミニカ共和国と対戦。2点ビハインドで迎えた9回から猛反撃を開始して一気に追いつくと、最後は坂本勇人内野手(巨人)が中越えのサヨナラ適時打を放って勝負を決めた。

「もっと評価されるべき超一流プレーヤー」

 敗戦ムードが漂い始める中、土壇場から試合を引っ繰り返した末に4―3で劇的勝利。ゲームセットの瞬間、侍ジャパンの面々がベンチからグラウンドへ雪崩れ込んだ。歓喜の輪の中心でチーム最年長の32歳はサヨナラ打を放ったヒーローとしてもみくちゃにされながら、これまで見せたことのないような「最高の笑み」を浮かべていた。

サヨナラヒットを放ち、チームメイトにもみくちゃにされる背番号6の坂本勇人選手(写真:AP/アフロ)

 試合後、テレビカメラも回る共同会見の場に現れた坂本は「正直にホッとしているという気持ちが一番」と本音を吐露し「ああいう形で最高の形で皆つないでくれて、いい結果になった。まずは勝ってよかったなと思います」とも続けてコメント。最後に「本当に皆でもぎ取った勝利だと思います」と強調したのも印象的だった。

 今大会も侍ジャパンでは主将のポジションが設けられていない。この方針は稲葉篤紀監督が就任以来、4年前から徹底されている。しかし今の侍ジャパンで坂本が自然な流れから尊敬の念を抱かれ、同い年で小学校時代の幼馴染同士でもある田中将大投手(東北楽天ゴールデンイーグルス)とともにそれぞれ野手陣、投手陣をまとめ上げる「事実上のリーダー」となってチームを引っ張る形になっているのは誰もが認めるところだ。