2017年5月9日、この日投票が行われた大統領選で「当選確実」が出たことで両手を突き上げて喜びを表現する文在寅氏。だがこの選挙の陰で、不正なネット世論操作が行われていた(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 文在寅大統領と与党「共に民主党」に大ダメージとなる判決が下った。

 文在寅大統領の腹心である金慶洙(キム・ギョンス)慶南道知事が、最高裁において、インターネット上での不正な世論操作に関与したとして業務妨害罪で懲役2年の刑を言い渡されたのだ。

 これで金慶洙氏は、セクハラ事件で収監中の安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事と呉巨敦(オ・ゴドン)釜山市長、やはりセクハラ疑惑で自殺した朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長に続き、任期途中に公職を剥奪された与島出身の自治体首長となり、2028年まで被選挙権を剝奪されることになった。

実刑判決を受けた「文在寅政権の皇太子」

 金慶洙氏は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領府で広報秘書などを務めた「親盧」の核心で、盧前大統領の死後は親盧の後継者を自任する文在寅氏を補佐し、「親文」の核心として浮上した。2017年5月の大統領選挙時には、文在寅陣営の広報官を担当し、文陣営の対世論戦を統括した。そして文在寅政権発足後に行われた2018年6月の地方選挙では、保守派の票田である慶尚南道で知事に当選して、共に民主党内の次期大統領候補として大きな注目を集めた。

 こうして「親文(文在寅派閥)嫡子」「文在寅(ムン・ジェイン)政権の皇太子」というニックネームまで獲得した有力政治家・金慶洙氏の足を引っ張ることになった事件とは何だったのか。なんと、文在寅氏が勝利した2017年大統領選の選挙戦に際してなされたインターネット世論操作事件なのだ。いわゆる「ドゥルキング事件」である。