中国人民解放軍の中距離弾道ミサイル「DF-26」(2015年9月3日、写真:アフロ)

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(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

「日本が台湾有事に軍事介入すれば、中国は即座に日本への核攻撃に踏み切る」という戦略をまとめた動画が中国全土に拡散した。

 この「日本核攻撃戦略」は米国、インド、韓国、台湾などで多数のメディアによって報道された。だが当事国の日本ではまだあまり報じられていない。中国政府や軍当局が公式に表明した戦略ではないにせよ、日本はこんな自国の存亡にかかわる威嚇を無視することはできないだろう。

日本は「核先制不使用」政策の例外

 まず、どんな動画なのかを説明しよう。

 その内容は、中国が台湾に武力を行使した際に日本が軍事介入すれば、中国は即座に日本へ核攻撃を仕掛ける──という趣旨である。

 動画は計5分50秒ほどの長さにまとめられている。制作にあたったのは中国の民間軍事評論グループ「六軍韜略」である。このグループは中国人民解放軍の幹部だった人物らを中心とし、独自のサイトを運営して、軍事の戦略や評論を頻繁に発表する。サイトは昨年(2020年)11月に開設され、約130本の動画を掲載している。各動画は5万~2000万ほどの再生回数があり、影響力のきわめて大きな軍事情報サイトだという。