深圳の夜景。この巨大経済都市で浮かぶ者もいればそうでない者もいる(写真:REX/アフロ)

 昨日(7月19日)、香港に隣接する中国広東省の経済特区・深圳で、「中国で初めて」というケースが起こった。35歳の梁氏が、裁判所から「個人破産申請裁定書」を受け取ったのだ。

 今年3月1日、中国で初めて深圳で、「深圳経済特区個人破産条例」が施行された。そこにはこう記されている。

<深圳経済特区に居住し、深圳の社会保険に続けて満3年加入している市民で、経営や生活上の返済能力が喪失した者、もしくは資金不足ですべてを返済できなくなった者は、人民法院(裁判所)に破産を申請することができる。それらは破産清算、再編、和解の申請を含む>

 この新たな規定が適用され、梁氏は晴れて、中国の「個人破産者第1号」に認定されたのだ。

利息は免除、そのかわり必要最低限の収入以外は全て債務返済に

 梁氏は2018年、ブルートゥース・イヤホン関連の会社を興した。だが昨年からの新型コロナウイルスの影響もあって、銀行への債務がかさみ、返済不能に陥った。負債総額は75万元(約1275万円)。銀行の預金は、3万6120元(約61万4000円)しか残っていない。あとは4719元(約8万円)の住宅積立金だ。

 梁氏は現在、ある会社でエンジニアとして働いていて、毎月の収入は、約2万元(約34万円)。不動産も車も所有していない。

 梁氏は、3月から「深圳経済特区個人破産条例」が施行されたことを知った。そこで3月10日、深圳市中級人民法院に出向いて、破産申請を行ったというわけだ。