(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年7月17・18日付)

新型コロナウイルス感染症も地球温暖化問題も貧しい国々の被害は先進国とは比べ物にならない

 イングランドで7月19日に新型コロナウイルス関連の行動規制がほぼすべて解除される時、それをもってパンデミックが終わるわけではない。終わりの始まりですらないかもしれない。

 だが、終わりのようなものの兆候ではある。いつの日か、富める国々がコロナ禍から抜け出す一方で、貧しい国々はそのままとどまるという状況になるからだ。

 しかも、これは今回のパンデミックのシナリオにはとどまらない。恐らく、気候変動危機の予告編でもある。

2つの危機の相似

 カナダの疫学者でオンタリオ州COVID-19科学諮問委員会のメンバーであるデビッド・フィスマン氏は、どちらの危機も人類のそばまで同じように忍び寄ってきたと指摘する。

 どちらも指数関数的な増え方をするが(感染者数と二酸化炭素排出量)、当初は目に見えるダメージをもたらさない。

 新型コロナの場合は数週間、二酸化炭素の場合は数十年間、人類は楽しい暮らしを続けられる。

 危機に気づいて行動を起こす頃には、もう後れを取っている。

 そして各国がほとんどの面で独自に対策を練る。学校を閉鎖すべきか、風力発電所をつくるべきか、といった具合だ。

 地球規模の問題だから地球規模で力を合わせて対応しなければならないのだが、「地球政府」という言葉は「対外援助」や「テクノクラシー」などのような政治的な罵り言葉になってしまっている。

 専門家から助言されても、知識がないうえに苦境に陥っている国のリーダーたちは目先の新聞の見出しを気にしているから聞き入れない。