(2018年12月11日、写真:アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 昨年(2020年)11月以降、数度の社債デフォルトに陥りながらかろうじて持ちこたえていた世界第3位のスマートフォン用半導体設計企業、清華紫光集団(以下「紫光集団」)。その紫光集団に対して破産による再編手続きを進めるよう債権人が7月9日付けで裁判所に申請を行った。

 紫光集団は1988年に中国の名門国立大学、清華大学が51%を出資して誕生した半国有企業であり、中国の半導体完全国産化計画を牽引する役割を担っていた。

 紫光側は「業務に影響はない」とはいうものの、昨年の「武漢弘芯プロジェクト」(武漢弘芯という半導体メーカーの巨大工場建設プロジェクト)頓挫に続く中国半導体業界の挫折であり、2025年までに中国半導体自給率70%を目指して官民で継続してきた大型投資の結果は、かなり無残な状況となっている。

負債が増え続け2000億元以上に

 中国メディアによれば、紫光集団の負債はすでに2000億元(約300億ドル)を超えている。

 紫光集団のオフィシャルサイトによれば、償還期を迎えた債務の返済に必要な資産、能力が紫光集団には明らかに不足しているが、企業に再編の価値と実現性があるため、債権人が法院(裁判所)に対して破産再編を申請したという。紫光集団としては全面的に法院の審査に協力し、法院が債権人の合法的権益を守ることを支持する、としている。