コロナ禍では国際物流が大混乱に陥った(写真:AP/アフロ)

(守屋 実:守屋実事務所代表)

 私は社会人生活30年で、これまでに50以上の新規事業を経験してきた。世界経済が一様に打撃を受けた今回のコロナ禍ではピンチに陥る企業の話をよく耳にするが、私自身はコロナ禍の2年間を含め、直近4年間で4社の上場を果たすことができた。新型コロナウイルス感染症のような未曽有の事態こそ、起業・新規事業を起こすチャンスだと考えている。

 ただ、ゼロから新しいものを創り上げるのは困難を伴う。そこで、成功する起業のポイントをお伝えするため、『起業は意志が10割』という書籍を上梓した。コロナ禍でも伸びている事業はあり、また、新たな価値観の中で、進化が進んだ業界もある。事例をもとに、起業や新規事業の可能性についてお伝えしたい。

 コロナ禍によって打撃を受けた世界経済。ピンチに陥る企業の話をよく耳にするようになったが、この2年間で急加速した事業もある。

 例えば、これまで制度でがんじがらめだった医療介護業界やヘルスケア業界などは、コロナ禍によってDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する最大のチャンスが訪れている。

 現に、私が参画している、介護施設向けオンライン医療相談サービスのドクターメイトではデジタルを許容し始めた業界変化の波に乗り、加速度的に売り上げを伸ばした。

 介護施設の高齢者は、褥瘡(じょくそう)という、いわゆる床ずれができてしまって皮膚科にかかることが少なくない。高齢者を病院にお連れする場合には、安全性に配慮してスタッフや看護師などが同行する必要がある。これが、介護現場の大きな負荷になっていた。

 そこで、ドクターメイトはタブレット型端末で撮影してもらった患部を遠隔で診ながら、ドクターメイトの医師や看護師がチャットで介護施設の職員にアドバイスする医療相談プラットフォームを作った。

 このサービスは間違いなくニーズがある領域だったが、アナログな介護施設では現場の運用にハードルがあり、大きくは広がらずにいた。

 その状況が、コロナ禍で一気に変わった。病院などに高齢者が出向くことが難しくなったことに加えて、施設入居者とご家族の面会ができなくなったことから、介護施設側もオンラインでのコミュニケーションを受け入れるようになったのだ。