ソウルの物価は東京より高くなったと感じる人が増えている

 2021年7月13日、韓国の金富謙(キム・ブギョン=1958年生)首相は、最低賃金審議委員会が2022年の最低賃金(全国一律)を5.1%引き上げることを決議したことを受けて、労使双方に受け入れを求めた。

 2022年1月から最低賃金が9160ウォンとなる見通しだ。

 7月12日に開かれた最低賃金委員会は最初から難航必至だった。雇用労働部に所属して最低賃金を審議する同委員会の構成は、雇用者側、労働者側、中立の公益代表が9人ずつ。

労使双方が反発して退場

 労使の要求額はあまりにもかけ離れていた。

 労働側は、3次修正案でも14.6%引き上げた1万ウォンを提案(1円=10.4ウォン)、1.5%引き上げた8850ウォンを提案した雇用者側と大きな開きがあった。

 激論の末、中立委員が、9030~9300ウォンを提示するや、雇用者側委員9人全員と、労働者側のうちより強硬なナショナルセンターである全国民主労働組合総連盟(民主労総)所属の4人が反発して退場した。

 残った14人で議論を進め、最後は「5.1%引き上げ、9160ウォン」を賛成13人、棄権1人で可決した。

 2015年以降の最低賃金の推移は以下の通りだ。

 2015年  5580ウォン
 2016年  6030ウォン
 2017年  6470ウォン
 2018年  7530ウォン
 2019年  8350ウォン
 2020年  8590ウォン
 2021年  8720ウォン
 2022年  9160ウォン(予定)

 雇用者と労働者の見解が異なるのは致し方ないが、双方ともに不満を超えて怒りの様相だ。それほど、見方に差があった。