(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年7月5日付)

米国は退屈な10年を迎える可能性がある

 米国のワクチン接種計画の成功と莫大な政府刺激策が牽引役となって、米国経済は今年、最大で7%の成長を遂げると見られており、現在、世界の景気回復をリードしている。

 評論家は盛んに、7月4日に245回目の独立記念日を祝ったこの国の「アメリカン・ルネサンス」を喧伝している。

 だが、問題が一つある。米国は経済的ルネサンスを経たばかりだ。これから再び生まれ変わる見込みは薄い。

米国が遂げた経済的ルネッサンス

 今から10年前、2008年の金融危機が去った後に、米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は初めて米国債を格下げし、米国の衰退を語る悲惨な予想が相次いだ。

 ところが実際には、2010年代を通して米国の経済力は拡大した。技術的な強さと、相対的に素早い債務危機解決が原動力になった。

 世界の国内総生産(GDP)合計に占める米国のシェアは、2011年に21%まで落ち込んだ後、昨年、25%まで回復した。

 米国の平均所得は実質ベースのドル換算で欧州を26%上回る水準で2010年代に突入し、2010年代の終わりを迎えた時には60%超までその差を広げていた。

 日本に対する米国の所得のリードはもっと劇的に広がった。

 2020年代の初頭になると、失業中の中産階級の「絶望」が話題になったにもかかわらず、米国の消費者と小企業の景況感は1960年代以来見られたことのない高水準に達した。

 金融超大国としては、米国はもっとすごい高みを極めた。