橋本聖子・東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会会長(写真:代表撮影/AP/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

「安全・安心なオリンピック」とは言うけれど、そもそもオリンピックは安全・安心でなければならないはずだ。安全の反対を危険とするのなら、紛争地帯や危険地域でオリンピックの開催などあり得ない。選手、観客、地域住民、あらゆる人の安全が担保できてこその平和の祭典で、その上にプラスαを競って開催都市が決まる。

 不測の事態が起きたとは言え、菅義偉首相を口火に政府、大会関係者が一斉に東京大会で「安全・安心なオリンピック」を目標とすることからして本末転倒で間違っている。そんな標榜があっていいはずがない。それどころか、運営組織の間抜けぶりが際立って、いまさながらに不安を煽る一方だ。

観客が求められる「ハイタッチ禁止」に「直行直帰」

 東京をはじめ10都道府県に出されていた緊急事態宣言が沖縄を除いて解除されてから1週間。東京オリンピック開幕まで1カ月を切った。ところが、まん延防止等重点措置に移行した東京都では、新規感染者が連日、前週の同じ曜日を上回る数で増加している。その増加数も26日まで4日連続で100人を超えている。このままでは、7月11日に期限を迎える重点措置の解除も困難な見通しだ。

 しかも政府内のシミュレーションでは、オリンピック幕直前の7月20日頃に、都内の新規感染者数が700人程度に達するとの報道もある。4度目の緊急事態宣言も視野に入る。それでも「やる」と豪語するIOC(国際オリンピック委員会)と大会組織委員会は、宣言解除直後の21日に国や東京都などとの5者の会談で、懸案だった競技会場の観客を収容定員の50%以下、最大でも1万人以内として開催することを決めた。