1月6日の議事堂乱入事件が退任後のトランプ氏に重くのしかかる(写真ロイター/アフロ)

敗北を認める常識派のイバンカ夫妻

 一時期は「わが娘は米国初の女性大統領になる」と自慢げに語っていたドナルド・トランプ前大統領。ところがいまや、長女イバンカさん夫妻(夫はジャレッド・クシュナー氏)が断絶の危機にある。

 大統領辞任後、イバンカさんは「トランプ勝利」を叫び続ける父親に嫌気が差し、特にトランプ氏が1月6日のトランプ支持者による米議事堂乱入事件を示唆したという疑惑が広がれる中で、父親とは距離を置き始めているからだ。

(イバンカさんは事件直後には乱入者たちを「愛国者です」と言っていたのだが・・・)

 イバンカさんの親しい知人は、CNNとの取材にイバンカさんの現在の心境を代弁してこう述べている。

「父は負けたのよ。それが事実。米国民は、大統領選びはもう済んだことと思っている。どんどん前に進んでいる。それが自然の流れなのよ」

 ところがトランプ氏は、いまだに民主党はまやかしの大統領選挙をやり、選挙の結果を「盗んだ」と信じて疑わない。

 ジョー・バイデン氏が大統領になったのは民主党による「陰謀」だと言い続けている。

 自分の政権で働いてきた側近たちはみなそう信じており、自分についてきていると確信している。

 ところが、「高等教育を受け、社会の常識や流れに敏感な2人はそうは考えていない」(前述の友人)。

 人の言うことには一切耳を傾けぬトランプ氏の目となり、耳となって、大統領補佐官を務め上げたイバンカさんも、上級顧問だったジャレッド氏も空気の読めないトランプ氏の対応にはついていけなくなっているという。