ソウルに設置された強制徴用労働者を象徴する「労働者像」と、その前で日本製品の不買を呼びかける学生団体の会員(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 先日、ソウル中央地裁で行われた戦時中の徴用工を巡る裁判。原告側の訴えは棄却され、同様の訴訟で原告の訴えを認めた2018年の判決とはまったく異なる判断が示されたことに、驚きや戸惑いの声が上がったのは記憶に新しい。

 慰安婦問題など日本政府に対する訴訟は、ここのところ原告側の敗訴が続いている。それまでの判決が不可解だったとも言えるが、一連の動きを見ていると、韓国の司法は政権や世論によって動かされていると感じざるを得ない。これは司法に限らず、報道においても言える。

 韓国で常々感じるのは、声の大きい市民団体が世論を誘導しているということだ。米国でも保守、リベラルともにNPOなどの市民団体が陰に陽に政治家に働きかけており、韓国だけの話ではないが、それにしても韓国における市民団体の影響力が強い。

 裏を返せば、韓国のマスコミが市民団体などの影響を色濃く受けているということでもある。要は、彼らの言うことを検証せず、そのまま垂れ流しているのだ。

 韓国における報道の偏向化は、文政権になってから顕著になっているとしばしば囁かれる。そこで、思い出されるのは、朴槿恵(パク・クネ)前大統領下で起きた衝撃的な事件である。