(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年6月22日付)

民主主義に挑戦状を叩きつけているアジアの虎

「中国モデルのユニークなところは何だと思いますか」

 これは、筆者が前回、北京を訪れた時に、あるテレビリポーターから問われた質問だ。特にこれといった中国経済モデルがあると思わない、というのが筆者の答えだった。

 日本、韓国、台湾が開拓した、輸出主導で急激な工業化を遂げる東アジアの発展モデルはある。中国がやったことは、同じモデルを大々的な規模で追求することだった。

 そして、中国の真のイノベーションは、国が豊かになるにつれて政治の自由化を進めなかったことだ、と付け加えた。これが中国が韓国や台湾と一線を画すところだ――。

 話を終えた後、この受け答えを少しでも番組で使えるのか、リポーターに聞いてみた。「いえ、使えないと思います」と返ってきた。

「でも、考えていることを言えるというのは、いいですね」

「アジアの虎」とモデルは同じ

 今週、中国が共産党の創立100周年を祝う準備を進めるなかで、あのやり取りのことを思い出した。

 共産党の賢明な指南の下、中国は世界がこれから学ぶことができる発展への独特な道を発見したというのは、習近平国家主席の中核的な主張だ。

 2017年の党大会での演説で、中国は「他の発展途上国が近代化を遂げるための新たな道を切り開いている」と宣言した。

 経済成長への新たな道筋を見つけたという習氏の主張は、疑わしい。