東京上空で核爆発による強力な電磁波を発生させられると日本全土が麻痺する危険性がある

 北朝鮮がロシアの技術を利用してEMP(Electromagnetic Pulse)兵器をすでに完成させているという報告書が発表された。

 EMP攻撃を受けると防護処置をしていないあらゆる電子機器が使用不能となり、現代文明を一瞬にして石器時代に戻すと表現されるほど、EMP攻撃の被害は大きい。

 本稿で言及する報告書は、米議会の諮問機関「国家および国土安全保障に関するEMP特別委員会」の事務局長ピーター・ビンセント・プライ博士が、6月6日に発表した「北朝鮮: EMPの脅威 北朝鮮のEMP攻撃能力」という報告書(North Korea: EMP Threat - North Korea’s Capabilities for Electromagnetic Pulse (EMP) Attack | EMP Shield)だ。

 上述の米議会の諮問機関は、電磁パルス、サイバー攻撃、大量破壊テロ、民間の重要なインフラに対する脅威から米国を防護することを目的とした組織だ。

 プライ博士は電磁パルスの専門家で、過去において「電磁パルス攻撃による米国への脅威を評価するための議会委員会」の事務局長(2001-2017)も務めている。

 その当時、プライ博士が書いた報告書には、北朝鮮のEMP兵器の保有の可能性が記述されていたが、今回の報告書では可能性ではなく事実であると記述されている。

 北朝鮮のEMP兵器の攻撃目標には米国のみならず日本も含まれており、我が国もこれへの対処を真剣に考えるべきだ。米軍では最近、EMP攻撃への対策準備に入ったという。

EMP攻撃とは

 EMP攻撃とは、核爆発などにより強力な電磁波(ガンマ線など)を発生させ、電子機器に過負荷をかけ、誤作動させたり破壊したりすることを目的とした攻撃である。

 EMP攻撃は、パソコン、電車、飛行機、自動車、電力網、通信網、衛星通信、電気制御された水道やガスのインフラなど、対象地域のすべての電子機器に致命的な打撃をもたらす(図1参照)。

図1「EMP攻撃の影響」

出典:筆者