(姫路大学特任教授:平野秀樹)

 新法〈重要土地等調査法〉が通常国会の最終日(6月16日)の未明、ついに成立した。

 立憲民主党と共産党が猛反発し、与党と日本維新の会、国民民主党などが押し切ったかっこうだ。

最低限の法規制にもかかわらずメディアは批判一色

「何で野党が反対するのかわからない・・・」

 テレビニュースを見ていた知人の妻はポツリ。ふだん政治にあまり関心のない50代女性でさえそういったというが、野党ばかりではない。大半のマスコミ(ネットを含む)が反対一色だ。スポンサーの意向によるのか、国民をミスリードしたがっている。

 一方で、新法の実効性を危ぶむ人たちもいる。

「骨抜きだ。実質的に何の縛りにもなっていない・・・」

 理由は二つで、一つは、①新法による規制区域が限定的でエリアが狭いこと。ここ十数年で、最も多く買収された森林・農地が直接の調査区域に入っていない。もう一つは、②規制レベルの低さだ。新法による規制レベルは、狭いエリアの土地利用について、国が調査するにとどめ、所有規制や強制的な立入調査、土地収用にまで踏み込んでいない。

 そんな低めの規制法だというのに、阻止派は収まらない。論点をずらした反対大合唱を続けている。

〈重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律〉