各地域ごとに下水道を検査することで、新型コロナウイルス感染症だけでなく様々な感染症対策がきめ細かくできるようになる

 6月16日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、分科会の終了後、記者会見(https://www.youtube.com/watch?v=iR5ocrikmr8)を開きました。

 この会見では、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除された地域で、事後1カ月程度、観客受け入れの上限を1万人とする政府の方針に対して、東京オリンピックの開催と切り離すことを条件に了承したことが明らかにされました。

 この新型コロナウイルス感染症対策分科会、上部組織は新型インフルエンザ等対策閣僚会議で、まずその下に「新型インフルエンザ等対策有識者会議」が置かれ、さらにその下の分科会として、上記の会合が置かれています。

 尾身さんはその双方の会長を兼務しています。

 この会見の、イベントや五輪に関する報道は、ほかにいくらでも出てくると思いますので、本稿ではこの中で評価するに値する「下水に関するエリア防疫」の観点を平易に解説してみたいと思います。

 この連載の読者であればよくご存じの通り、下水PCRなどの推進はまる1年前から、私自身が東京大学と関連機関、とりわけ「Facebook TUM AI倫理研究所」やグローバルAI倫理コンソーシアムのプロジェクトとして鋭意推進してきました。

 ペーパーから意見書まで様々な文書を出してきた当事者ですので、今回の言及は大変望ましく思っています。

 と同時に、いまだ十分な理解が得られていないことも、ややたどたどしい尾身氏の受け答えからも見えましたので、そのティーチイン念頭で以下を記します。

 端的に申すなら、下水に限局せず「環境防疫」のテクノロジーは新型コロナウイルス感染症のパンデミックに「終息宣言」を出せるコア技術であることが決定的です。

 しかもこの終息宣言は、適切に区切ることができれば「エリアごと」に社会の再開を可能とする「レジリエントなスマートシティ(打たれ強いアフターコロナ都市)」を建設・発展させていくうえで、最も基本的な技術になります。