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「ペーパーレス化」の潮流の中、世界的に紙の手形や小切手のデジタル手段への代替が、急速に進んでいる。日本で手形のデジタル代替を進めていく上での課題は何か。元日銀局長の山岡浩巳氏が解説する。連載「ポストコロナのIT・未来予想図」の第40回。

 デジタル技術革新は、経済活動の姿を変えつつあります。この中で、これまでビジネスで使われてきた各種の「紙」がデジタルに代替される「ペーパーレス化」が進んでいます。その代表例が、紙の現金(銀行券)のキャッシュレス手段への代替です。しかし、これより先に世界的にデジタルへの代替が進んだものとして「手形」や「小切手」が挙げられます。

小切手をデビットカードに代替していった米国

 海外では日本に先立って、手形や小切手の減少が進んできました。

 米国ではかねてから、小切手が支払手段として広く使われてきました。米国に住んだことのある方々は、スーパーマーケットのレジで小切手に金額を書いたり、公共料金を払うために小切手を郵送した経験をお持ちだろうと思います。また、後で手元に戻ってきた使用済み小切手をチェックして、何にいくら使ったのかという家計管理に役立てたのではないでしょうか。