短距離ミサイルを発射した北朝鮮。金正恩総書記による独裁体制が続いている(写真:AP/アフロ)

(李 泰炅:北送在日同胞協会会長)

※1回目「『地上の楽園』北朝鮮に渡った在日朝鮮人が語る辛苦」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64819)
※2回目「脱北した在日朝鮮人医師が体験した脱出劇のリアル」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65006)
※3回目「ミャンマーで投獄された脱北者の私が自由を取り戻すまで」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65372)

 これまで3回にわたって、日本と北朝鮮、韓国を渡り歩いた波瀾万丈の人生を書いた。北朝鮮帰還事業の被害者である一人の人間の生き様に、多くの方が関心を持って読んで下さったこと、本当にありがたく思っている。

 私は大韓民国に入国して11年になる。日本で9年、北朝鮮で46年暮らし、ミャンマーの監獄で3年暮らした。私の69年の人生の中で、韓国で生活した11年は、それまでの58年間とは比べ物にならない重さがある。充実した人生を送っていると言っても過言ではない。

 15年前に脱北し、日本に定住している友人のイ・サンボン氏とは、よく電話で連絡を取りながら情報を共有している。そんな彼が、「韓国に来て一番嬉しいことは何か」と私に聞いてきたことがある。

 それに対して、私は自分の考えを気楽に話すことができる「言論の自由」だと答えた。そして、「ごく普通に食べることができ、どこで何を話しても心配することなく、交通事情も良い。自由があり、生命権が保証されている暮らしは素晴らしく、良い点を挙げれば切りがない」と続けた。

 イ・サンボンは、歳月が流れ、もう少し年を取ったら両親の故郷である韓国で暮らしたいと言った。韓国に定住している北宋在日同胞の人生についても知りたがっていた。年を取ったらより住み良い所で暮らしたいらしい。そんな彼のために、私は韓国に定住することになった過程を話し、韓国と日本の脱北者の人生を比較した。

 脱北者が韓国に入国するとどうなるのか、改めて書いてみよう。