新型コロナワクチンはお年寄りだから必ず打つべきとは言えない

 タレントの明石家さんまがワクチンを打つ打たないで、報道(https://news.yahoo.co.jp/articles/741d5e7b574d80f427efabf7eed7cf53334ea603)がありました。

 番組での共演者にコロナ発症者が相次ぎ、スタッフが心配しているとのこと。1955年7月生まれの杉本高文さんは現在65歳、ちょうどワクチンでは区切りにあたる年齢に達しています。

 読者の皆さんはいかがでしょう。あなたはコロナワクチンを打ちたいと思いますか?

 前回から、新型コロナウイルスの生理、病理、薬理に関する、最も本質的な部分を詳解していますが、やや複雑で、いきなりでは分かりにくいという読者の反響もありました。

(「新型コロナと高血圧の危険な関係」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65647

 そこで改めて、問うてみましょう。皆さんはコロナのワクチン接種を受けますか。それとも、受けませんか?

 私はワクチン接種は進めていくべきと思います。統計的には有効性が明らかだからです。

 と同時に、自分はいま受けたくない、と思う人(明石家さんまのように)が、無理に受けなくてもよい自由は、予防接種法に明記されている通りでもあります。

 ご自分できちんと考え、リスクが高いと判断されたら、納得して接種を受ける。これが正しい在り方だと思います。

 本稿を含め、一連の原稿は、複数の専門家に意見を求めながら記していますが、「今回の原稿はワクチン慎重論に見えるのでは」と指摘がありましたので念校で書き加えています。

 本連載でワクチンの問題を取り上げるようになってから、多数のお問い合わせをいただくようになりました。

 そしてそこで問われるのは、実は分子生物学の細かなメカニズムではなく、もっとナイーブな質問が大半です。

 そこで、サイエンスの進んだ話題を先に急ぐのではなく、まずワクチンを打つべきか、打たない方が良いかという、基本的な問いにお答えしたいと思います。

「打つべきか、打たざるべきか、それが問題だ」

 ハムレットのような自問自答ですが、あなたはワクチンを打ちますか?

総論推進、各論要検討

 まず、ワクチンは、コロナ克服にあたって有効な手段であるかを考えてみましょう。

 この問題への答えは「イエス」です。改めて、次のグラフで確認してみます。

 図は2021年の1月から6月にかけての米国全土でのワクチン接種率と、新型コロナウイルスの新規感染者、死亡者の変化をグラフにまとめてみたものです。

 接種が本格化するにつれて、新たな感染者が明らかに減少しているのが確認できます。接種率が10~20%程度になると新患は顕著に減り、40%前後で一度小さなぶり返しがあり、感染者、死亡者とも若干の増加がみられますが、その後は順調に減少しています。

米国での2021年1~6月のワクチン接種率(青色線)と新型コロナウイルスの新患数(オレンジ色線)、死亡者数(灰色の線)の推移

(* 配信先のサイトで図表が表示されない場合は、JBpressのサイトで本記事の図表をご覧ください。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65666