(英フィナンシャル・タイムズ紙 2021年6月10日付)

東欧で中国熱が急速に冷めてきている(写真はブタペスト)

 ハンガリーの首都ブダペストのカラーチョニ・ゲルゲイ市長が6月初め、市内の道路の名称を変更した。

「自由な香港通り」「ダライラマ通り」、そして「ウイグル殉教者通り」は、中国復旦大学の初の欧州キャンパスの用地になるはずだった場所で交わる。

 中国外務省は、カラーチョニ氏のパフォーマンスは「卑劣」だと言った。

キャンパス計画に抗議するデモ行進

 復旦大学の分校キャンパスを中国に取り入るための旗艦プロジェクトに据えていたハンガリーのオルバン・ビクトル首相にメッセージが伝わるまでには、さらに時間がかかった。

 6月初めの週末、何千人ものハンガリー人が復旦大学の計画に抗議してブダペストの街頭を行進し、オルバン政権は後退を強いられた。

 計画について最終決定は何も下されておらず、来年の議会選挙が終わるまでは決定を下さないと閣僚らは釈明した。そして政府が決定した後には、首都で住民投票にかけると説明した。

 決定が下されていないとは、いったい何の話か。

 学生8000人と教員500人を収容し、スポーツ施設と会議場を備えた総面積52万平米の新キャンパス建設について、ハンガリー政府が中国当局と合意文書に署名したのは、ほんの6週間前のことだ。

 建設費や財源の詳細はほとんど明かされていないが、調査報道機関ディレクト36は建設費を15億ユーロと推計している政府文書を入手した。

 15億ユーロと言えば、2019年のハンガリーの高等教育予算の総額をも上回る規模だ。建設費の大半は中国からの融資でまかなわれるという。