カーボンニュートラルの実現のために、またぞろ原発が浮上している(写真:ロイター/アフロ)

 東日本大震災以降の10年間に、再生可能エネルギーではなく石炭火力やガス火力に注力した日本。結果的に、太陽光発電や風力発電、蓄電池など今の時代の武器になったであろう事業や技術の多くを失った。挙げ句の果てに、「2050年カーボンニュートラル」を実現するために、原発復活という議論までわき起こる状況だ。2010年からの10年で、日本は完全に世界から取り残されてしまった。

 欧米のグローバル企業が気候変動対策に活路を見出す中、なぜ日本と日本企業は戦況を見誤ってしまったのか。なぜ「環境問題=コスト」という旧態依然賭した発想から抜けきることができなかったのか──。「元気を出せニッポン!チャンネル」では、ESG投資や気候変動問題に詳しいニューラルの夫馬賢治CEO(代表取締役)とともに、日本の「失われた10年」を振り返る。

第1回から見る(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65654)

脱炭素に背を向けた安倍政権の空白

●夫馬賢治氏のプロフィール

株式会社ニューラル代表取締役CEO。2013年のニューラルを創業後、サステナビリティ経営・ESG投資アドバイザリーを手がける。ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長。政府の有識者委員会や国際会議での委員を歴任。著書に『データでわかる 2030年 地球のすがた』(日本経済新聞出版)、『ESG思考』(講談社+α新書)、『超入門カーボンニュートラル』がある。